コーチングレッスン

ここ数年で聞かれる事も多くなった「コーチング」という言葉。他に「カウンセリング」と言っておられる先生もいらっしゃいます。コーチングレッスンとは、本人の意思を「引き出す」「確認させる」「行動させる」レッスン、ということになります。私のレッスンではこの「コーチング」を取り入れて、生徒さんが自ら自分の問題を引き出し、考え、解決していく力をつけるお手伝いをしています。では、ピアノのレッスンの中でどのようにコーチングを取り入れているか、例をあげてみましょう。

  1st.ステップ 『自分を知る』 

レッスンでは、宿題として出された曲を弾いたり、ワークブックやノートをつかった宿題などが課題として出されていますが、どれからレッスンを受けるのか、まずそこから決めていきます。
「いつもこの本から練習しているから」「この曲から弾きたいから」「なんとなく・・・」生徒さんに選んだ理由を聞いてみると、答えは様々です。
レッスンを無駄無くスムーズに進めていくなら、指導者側から弾く順番を決めても良いかと思います。けれど、私はこの「弾く曲を選ぶ」から、生徒さんの自主性を育てていきます。
オーソドックスにテクニックや練習曲等の基礎教本から始めるも良し。曲から始めるも良し。ワークブック等から始めるも良し。反対に、弾かない曲があっても良し。
何を選んだかで、生徒さんの状態を掴むことが出来ます。
誰にでも得意なこと、苦手なことがあります。それらを自分で判断し、自分で申告することによって、自分を客観的に振り返る事が出来るようになります。
また何より「強制されない」ことによって「自由」を得られます。けれど、「自由」の反対には「責任」があります。一見、好き勝手にやらせているように見えますが、こうして「責任感」を自然に学んでいけるのです。

  2nd.ステップ 『考える』 

生徒さん自身で選んだ順番でレッスンがスタートします。曲を弾く場合は、まず1曲最後まで通して弾いてもらい、弾き終わった後に、感想を述べてもらいます。
「上手く出来た」「ちょっと失敗した」など、聴き馴染みの言葉が聞かれます。それについて、もう少し具体的に話してもらいます。この「説明する」という行動は、自分の演奏を客観的に聴いていないと出来ません。また説明するためには「言葉」を考えなくてはなりません。
また、1st.ステップで弾かなかった曲があった場合、その曲をいつレッスンで持ってくるのか、なども考えてみることもします。
一日は24時間、万人に平等に与えられています。予定をどう組み立てればいいのか、計画性をつけていきます。

  最終ステップ  『自分の翼で羽ばたく』 

こうしてきちんと弾く習慣がついてくると、音符・リズム・テンポ・指使い・弾き方・強弱など、譜面に書いてあることを全て正しく守って弾いている演奏、俗にいう「完璧な演奏」が出来るようになります。聴いている側はその完璧な演奏を「素晴らしい!」「最高!」と賞賛することでしょう。けれど実は、弾いている本人が時に納得・満足していないことがあるのです。そんな時、私は生徒さんに「今、ミスなくきれいに弾けていたけど、自分ではどう思う?」と尋ねます。すると生徒さんからは「何か・・・もうちょっと・・・」と満足していない声や「もっとここは〜〜のように弾けば良かった」と言うような言葉をよく聞きます。もう、ミスのない演奏が自分の求めている演奏ではないからです。ここまでくると、イメージを具体的に弾く作業に移し替えるので、高度なテクニックが必要となります。殆どはそれらを学習しているので、再確認するだけなのですが、もしテクニックを習得していないとすれば、この時がチャンスになります。ただテクニックを習得するには根気・努力といったものが必須になりますが、コーチングレッスンを受けてきている生徒さんは、自分の演奏を更に良くするために自主的に習得しようとします。

コーチングレッスンを受けた生徒さんはどうなっていくかというと、自主性が飛躍的に育ちますから、こちらからあれこれ指示を出さなくてもよくなります。例えば、宿題の曲数を決めたり、弾きたい曲を探してきてリクエストします。そして選んできた曲は、本人にとてもよく合う曲が多いのです。たとえ、その曲が今は弾く事が難しかったとしても、弾くためにスケジュールを計画し、その曲に必要な練習をするようになるので、必ずその曲が弾けるようになります。
ショパン作曲「英雄ポロネーズ」、リスト作曲「愛の夢」「ハンガリー狂詩曲」「エステ荘の噴水」などは大変高度な演奏技術を必要とされますが、これらの曲を私が指導した生徒さんは、中学生で弾いていました。

  コーチングレッスンの最大の目的 

ピアノに限らず、何かを習うという事は、指導者から教わり、それが出来たか指導者にジャッジしてもらう、という形式になっています。当然、私のレッスンも習い始めはコーチングの反対「ティーチング」を重視しています。ピアノを弾くための知識や経験がなければ、自分の演奏を客観的に判断する事など出来ませんから、ティーチングで知識・技術の土台を作っていき、合格に値するある一定のラインの演奏というものを学んでいきます。ここまでは、従来のレッスンと何ら違いはありません。

でも、それがずっと続くとどうなっていくかというと、『先生が良いと言わなければダメ』『合否は先生が決めるもの』という、全てを相手に決めてもらう「受け身」の体制になってしまうのです。勿論、ピアノ指導者の仕事はピアノを弾けるようにするのが仕事ですから、演奏に対して判断を拒否する事は絶対にありません。でも全てこちらの意見で合否を決めているだけでは、自分では何も決められない人間を育てているのと同じなのではないでしょうか?

『自立』という言葉をよく耳にしますが、勝手に自然に自立してくれるわけではなく、自分の行動・判断に責任が持てるよう、自立を育てていかなくてはいけないと思っています。

人生は迷い悩む事がとても多いのです。その時に一生懸命『考える』ことが大事だと思います。「正しい」か「間違い」を決めるのではありません。どちらが自分にとって必要か、自分は何を望んでいるか。誰かに強制されたのではなく、自分のために自分の出来る事・やりたい事を自分で決める事が大切だと思っています。もし自分の選択が間違っていたとしたら、それに気づいた事が素晴らしい事であり、それを修正すればいいだけのことです。完璧な人生など無いのですから。

『自分から意見を言う』『自分を評価する』ということに、私達はあまり慣れていないかもしれません。実際、私がそうでした。けれど、自分のために考え、演奏を作り上げて満足のいく演奏が出来たとき、初めて本当の「弾ける喜び」を感じました。


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